■著作権補償金の上乗せ、「iPod」見送り決定・文化審-NIKKEI NET BizPlus
(注:早くリンク切れするおそれがあります)
今人気の携帯型ハードディスク/メモリー音楽プレーヤーに、著作権補償金(=私的録音補償金)がかけられるかどうか、かねてから審議されていたが、どうやらしばらく見送りになったらしい。
昔は、著作権料はレコードやCDなどの売り上げから得れば十分だったのだが(テープだとアナログ録音であるため、どうしても繰り返し録音/再生すると音質が劣化してしまう。その結果、人々はCDやレコードを買う傾向にある)、MDというデジタル録音可能なメディアが出現したため、1993年にこの制度が導入された。すなわち、ほとんど劣化しないデジタル録音ができる*ことによって、CDを購買するのをやめて、レンタルショップから借りてMDに録音しようとする人の分の著作権料を補償しようという発想から出来た制度なのである(なお、それ以前にもDATやDCCはあったが、メディアの単価が高く、一般大衆にはあまり浸透しなかった)。
その後、パソコン時代へと突入し、1998年にはCD-R、CD-RWに、デジタル放送時代に突入した1999年にはD-VHSに、デジタルビデオ時代となった2000年にはDVD-RAM、DVD-RWへとこの制度の適用が拡大された。
このように、ソフトとハードが分離している時代はまだ良かったが、インターネット時代が更に加速し、2003年ごろからにわかにMP3を使った、メモリー型・ハードディスク型の音楽プレーヤーが登場してくると、音楽業界からは「このようなプレーヤーにも補償金制度を」という要望が上がってきた。
しかし、CDから直接デジタル録音したのならいざ知らず、音源がネットワーク上のもので、音楽会社のサイトや、iTunesストアから正式なダウンロードをしたというのなら、私的録音は折込済みのため、その分の著作権料はすでに価格に入っているはずなので、二重取りとなってしまうし(正式でないダウンロードをしたというのなら、配布元が著作権料を払っているかどうかという問題に行き着くので、私的録音補償金の問題とはならないはずである)、しかも当初の目的が「劣化しない」つまり、音質が劣らないからCDを買わなくなるということだったはずなのに、MP3というもともとさほど音質も良いとはいえない(MP3プレーヤー発売当初は、クラシック音楽を聴くと「障子を1枚隔てて聴いている感じ」と揶揄した人もいるくらいだった。今は改善の方向にある)録音方式のものにまでこのような制度を及ぼすことには当然反対意見が根強く、結局2年間見送りの方向となったようだ。妥当であろう。
そもそも、私的録音・複製(著作権法30条1項)は自由に行いうるはずなのに、このような制度があること自体に疑問を投げかける人も少なくない。「どれだけ(金を)取るか」ということに躍起になるのではなくて、まずは「どれだけ多くの人に聞いてもらえるのか、買ってもらえるのか」という方向にエネルギーを注いで欲しいところである。
*とはいえ、もともとMDは、親であるCDから録音したMD(これは、子にあたる)から、さらにMD(これは、孫にあたる)へのデジタル録音は出来ない構造になっていた(SCMSという)ため、そんなに懸念するほどだったのかという気がする。また、CDのデータを圧縮して録音するため、実際には音質も劣化していた。
実際、MDが相当普及していた1995年以降も、4~5年はCDの売り上げは順調であり、その後のネットワーク時代のCD不況は別としても、MDの普及によってCDが売れなくなったということはないと考える。