今回の曲はアレですな。民法192条の即時取得と民法193条の盗品との関係。あと刑法も。
前回説明した動産の対抗要件である178条は、実はほとんど意味がありません。というのも、178条の「引渡」はかなり観念化してしまっているからなのです。具体的に言いますと、間接占有でもいいことになります(判例)。
これでは、AがBに自分のものを占有改定した(=引渡した)としても、なお物はAの手元にありますから、事実上Cに売っ払ってしまうこともできます。つまり、二重に引渡ができるのですが、先に引渡をしているのはBですから、Cは手元に物があるのにBに対抗できないことになってしまいます。
そりゃあんまりじゃないの、ということで出来た条文が192条の「即時取得」です。
これによれば、平穏・公然に、CはAが所有者だと信じることに善意・無過失であり、かつ「占有を始め」れば、Cは保護されることになります。で、この「占有を始め」たに占有改定が含まれるかどうかですが、これは含まれないと解する説を判例は採用しています。まあ、昨日と今日で、そこに変わらず物があるのに、今日占有改定したから、という理由で真の権利者の利益が失われるとはいえないといったところでしょうか。
だから、この場合Cは192条の要件を満たせば即時取得できると、こういうわけですね。
しかしこの曲の場合は、キョンキョン扮するルビイさんが海賊から盗んできた宝なんですよね。そこでキョンキョンから宝を買った真田広之がいくら192条の要件を満たしていると言っても、193条により2年間は被害者が占有者に対して「返して!」と言えるわけですね。つまり、宝を埋めた海賊さんが真田広之に「返せ」と2年以内に言えば、193条の方が優先し、取り返せるということになります。
民法上はこんな処理になるかと思います(ただし、海賊が所有権を放棄した場合は別。遺失物拾得(240条)or埋蔵物発見(241条)になりますので)。
もっとも刑法的には、海賊は宝を「埋めた」のですが、どこに埋めたかによっても事情は異なってきます。自分の家の地下に埋めたのなら、窃盗罪(刑235条)になるでしょうし(もちろん住居侵入罪(刑130条)も)、海賊が埋めてどこいったんだかわからないけどまだ彼が探していた、という場合は遺失物等横領罪(刑254条)になるでしょう。
そして真田広之が、善意だったらいいのですが、これが盗品だと知って譲受けたならば盗品等譲受罪(刑256条)に問われるでしょう。意外に256条2項の法定刑が重いのですが、これに対しては諸説ございます。盗品に対する追求をさらにしにくくするからだとか、違法な状態を維持するからだとか、事後共犯的な側面があるなどと言われています。
曲はいかにも大瀧詠一という感じですが、良い曲です。