今日は9月30日です。夏休み企画として2ヶ月近くお世話になりました、「むりくり法律を覚えてしまおうシリーズ/民法総則編」は、今日で終わりになります。
そして、このレコメンは新しいスタートを意味します。というのも、1曲目のアーティストはちあきなおみ、そしてこの120曲目のアーティストもちあきなおみなんです。つまり、原点に立ち返ったようなものです。というか、この曲が一番しっくりくるからしょうがないんだよねえ。
さて、民法総則編の最後を飾るのは、時効です。時効という言葉は、それなりになじみがあると思いますが、民法にいう時効は取得時効と消滅時効の2パターンがあります。
取得時効(民法162条・163条)というのは、一定期間その者を、所有の意思を持って占有していたりすると、他人のものが自分のものになるという何ともラッキーなものです。ただし、期間中にその他人から「返せ」と言われても時効が進行するわけではなく、きちんと返さなければなりません。
消滅時効(民法167条)というのは、たとえば誰かに10万円を貸していたことをすっかり忘れていて、返すと約束した日から10年以上経過してしまったのちに、初めて「あのときの10万円返せ」と相手方に言ったとしても、権利が消滅してしまっているので、返還請求ができないというものです。なじみのある「時効」というのは、どちらかというとこちらのほうかもしれませんね。
ところで、消滅時効には「短期消滅時効」というのがあります(170以下)。その内容は民法170条以下を見て欲しいのですが、今日の曲は民法174条4号の「旅店・料理店・貸席・娯遊場の宿泊料・飲食量・席料・木戸銭・消費物代価・立替金」に当てはまる曲なのです(なお民法口語化の際にこれらの語句は改められる見通し)。
そう、いわゆる飲み屋の「ツケ」なんです。こんな一節が出てきます。
「いいのいいのよ ツケは帳消し」
これは、閉店1年前までのツケのことを指すことになります。歌詞からしますと、5年ぐらい店をやっていたようですが、この後ママの気が変わって「創業以来のツケを返してよ!」としんちゃんに迫っても、その日から1年前までの飲み代しか請求できないのです。
さらに、「ツケは帳消し」とママが言ったことは債権者の一方的な意思表示によって債務の免除をしたことになります(民法519条)ので、後から気が変わったからといって請求するのは信義にもとります。とはいえ、口頭で言われただけですから、しんちゃんはきちんとそれを証明する書面をママからもらっておくのが、トラブル防止の第一歩です。
およそ現実的ではございませんが。
「紅とんぼ」 1988年10月5日発売 日本コロムビア
◆MIDI&歌詞
ちなみに、レコメンの欠番残り10曲(No.069〜078)については、マイ・フェバリットソングという形で埋めようかと思います。よろしくお願いいたします。